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HEP HALLで山口和也さん写真展-ボクサーの故・小松則幸さん三回忌で

会場内にはリングも設置

会場内にはリングも設置

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 HEP HALL(大阪市北区角田町、TEL 06-6366-3636)で4月6日、ボクサーの小松則幸さんを追った山口和也さんの写真展「プロボクサー小松則幸-鳳凰、光の彼方へ」が始まった。

美術家・写真家の山口和也さん

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 兵庫県高砂市出身の山口さんは、京都造形芸術大学 美術工芸学科 洋画コース卒業後、絵画作品を国内外で発表するほか、お互いを描く「描き合いっこ」や一人の人物を長期にわたり撮影するなど、コミュニケーションの痕跡、共有した時間を作品として残す活動を行っている。

 あるアーティストの音を聴いたとき、イメージが湧いて「音楽と絵でも『描き合いっこ』ができる」と思った山口さんは、2000年にライブペインティング「描き合いっこ『音と落書き』」を実施し、その時の作品で絵画公募展 関口芸術基金賞大賞を受賞。副賞のニューヨーク研修に向かった。

 滞在中、大徳寺のふすま絵を制作中の日本画家・千住博さんに出会い、仕事を手伝うように言われた山口さん。1週間後、千住さんに「写真撮ったことある?」と聞かれ、「写ルンですなら」と答えたところ、千住さんのふすま絵制作風景の撮影を任されることになり、それが後に「千住博 大徳寺聚光院別院 襖絵(ふすまえ)大全」として発行された。山口さんは「絵描きとしてニューヨークに行ったのに帰りには写真家になっていた」と笑う。

 千住さんの撮影が終わった後、「僕はこれから何を撮りたいのか」と考えていたころ、「テレビで見たボクシングの試合に涙が止まらないぐらい感動した」といい、知人の紹介で初めてボクシングジム訪れた。そこで3人のボクサーを紹介され、フレンドリーな2人と対照的で言葉数も少ない小松則幸さんに「引かれるところがあった」と、小松さんに絞って撮影を始めた。

 「仲良くなると仲のいい写真になる」という思いもあり、3年ぐらいは会話もなく撮影。4年目ごろから話をするようになり、「世界チャンピオンになったら写真集を出そう」と話していたが、亀田大毅戦を1カ月後に控えた2009年4月13日、小松さんが修行先の滝つぼで事故死し撮影は終了した。山口さんは「滝つぼで事故に遭ったと言われても、お通夜で本人の顔を見るまでは何が起こっているのか分からなかった。もっと話をしたかった」と当時を振り返る。

 小松さんの死後、初めて撮影した写真を見返した山口さんは「この写真を見せていけるのは僕しかいない」と、一周忌に東京で写真展を開催。三回忌にHEP HALLで開催することになった。今回の会場には試合の写真やプライベートショットなど39点と、山口さんが制作した試合のポスター、小松さんからの年賀状などをパネルで展示。会場中央にはリングを設置し、「『こういうのができたで』と天に向かって見せたい」と、マット上に試合中の写真1,000枚をスライドショーで映し出す。「東京や今回の展覧会では、小松さんや小松さんの写真を通じて知り合った人々にかなりサポートしてもらい、言葉は少なかったが多くの縁を作ってもらったとあらためて感じた。大阪に若くして彗星(すいせい)のように消えていったボクサーがいたということを一人でも多くの人に伝えたい」

 開催時間は11時~20時。入場無料。今月13日まで。13日18時からは山口さんのトークイベントを予定する。

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