戦前までは普段着、「モスリン」の新作-今昔館の企画展で紹介

モスリンを使った着物や関連資料など77点を展示

モスリンを使った着物や関連資料など77点を展示

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 江戸時代から昭和に至るまでの暮らしに関する博物館「住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館」(大阪市北区天神橋6、TEL 06-6242-1170)で2月21日から、春休み企画展「新生!モスリン-現代作家の仕事-」が開催されている。

モスリン素材の半袖アロハシャツ

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 モスリンは、主に羊毛を原料とする単糸平織りの薄手の布で、冬は暖かく夏は涼しい素材。明治~昭和初期ごろには着尺や羽織裏、長襦袢(じゅばん)や子ども用着物などに幅広く用いられたが、化学繊維の台頭や洋服の普及などで戦後は衰退していった。現在ではモスリンを製造する企業はコマテキスタイル(中央区)などわずかしかない。

 27年前からモスリンを染め続けている京都の染色作家・斎藤洋さんが「改めてモスリンを見直そう」と呼びかけ、モスリンの製造や保存などに関わる人らとともに2007年に「モスリン会」を発足。その後大学など教育機関に関わる人や和裁士なども加わり、モスリンの存続を目的に活動を広げている。同展も、「モスリン会」のメンバーが多くかかわって実現した。

 会場では、京都の和装ブランド「SOU・SOU」の着物やコート、染色作家・谷本良子さんと伏木野芳さんの「モスリンの洋服」や関連資料など77点を展示している。同館のミュージアムショップでは、八幡はるみさんの作品「モスリン半袖アロハシャツ」(16,800円)や、斎藤洋さんの染めた「ショール」(9,000円)など関連グッズの販売も行う。

 3月29日には、「実際に着てモスリンの魅力を感じてもらおう」と、学生らが染めたモスリンを使ったファッションショーを開催。現在ファッションショーのモデルの募集も行っている。応募締め切りは同14日。

 4月5日には、斎藤洋さんや公庄れいさん(くらしの着物資料館・あたらし舎代表)、八幡はるみさんらによるシンポジウム「モスリンの魅力を語る」を予定している。聴講無料。

 同館の新谷昭夫副館長は「大阪の繊維産業の経済的な発展をモスリンが支えてきたので、(同館で)企画展を実施することにも意味がある」と話す。

 開館時間は10時~17時。入場料は、一般=800円、学生=500円(いずれも常設展への入館を含む)、企画展のみ=300円。4月6日まで。

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