サイレント映画にピアノの生演奏を付けて上映するイベント「キネピアノ」が3月20日・21日、テアトル梅田(大阪市北区茶屋町、梅田ロフト地下1階)で開かれる。
映画が誕生したと言われる1895(明治28)年以降、1927(昭和2)年にトーキー(音あり)映画が公開されるまでの間に隆盛を極めたサイレント映画。別名、無声映画とも言われ音がないため、映画館での上映時には演奏付きが基本だった。日本では活動弁士が登場人物のせりふや情景描写を話すスタイルが主だったが、欧米ではピアノ生演奏のみが主流だった。
イベントは、映画情報サイト「キネプレ」編集長の森田和幸さんが企画し、大阪市の芸術活動助成事業の認可を受けて開催する。当初昨年12月に開催を予定していたが、大阪府の外出自粛要請を受けて延期となっていた。森田さんは「サイレント映画を、『古いものを観よう』『伝統を勉強しよう』という感じでとらえるのではなく、今観ても新しく面白いものとして紹介したい。コロナ禍でなかなか味わえないライブ感を、映画で堪能できる貴重な機会だと思う」と話す。
コメディー映画「キートンの大列車追跡」(20日)、ラブロマンス「散り行く花」(21日)を上映し、サイレント映画専門楽士として関西を中心に活動する鳥飼りょうさんがピアノを即興演奏する。テアトル梅田には鳥飼さんが愛用するアップライトピアノを持ち込むが、同映画館でピアノ演奏が行われるのは初めて。
鳥飼さんは「演奏の構成や組み立ては事前に決めているが、例えばコメディー映画の場合は観客の笑いに応じて次の一手を変えるなど、観客と一緒に作っている感覚」と話す。「サイレント映画の敷居が高そうなイメージを払拭(ふっしょく)したい。懐古主義ではなく、楽しさを知ってほしい」とも。
イベントのポスターは、ディズニーの公式イラストレーターで、サイレント映画のファンだというカズ・オオモリさんが手掛けた。ピアノを演奏する手と、今回上映する映画のシーンを組み合わせたインパクトの強いデザインに仕上がった。
イベントは参加無料。両日とも16時20分~17時50分で、各回定員は50人。事前予約が必要で、現在キネプレ上で受け付けている。3月17日に締め切り、応募者多数の場合抽選する。