堂島の「Tea House MUSICA(ティーハウス ムジカ)」に併設するカフェレストラン「カフェ トゥ レ ジュール」(大阪市北区堂島浜1 アクア堂島フォンタナ3階、TEL 06-6342-7886)で9月16日、「ムジカ・サロン・コンサート『食卓の音楽』~西洋古楽器によるバロックの夕べ」が開催された。
「ムジカ」は1952年、現オーナーの堀江敏樹さんの父で音楽評論家だった謙吉さんが「ティーサロン ムジカ」を開店。1971年の紅茶輸入自由化に伴い「ティーハウス ムジカ」に改め、独自ルートで原産国から直接茶葉を輸入し、ムジカブランドとして店舗で提供するとともに、小売り、卸売りなども行っている。日本で初めて本格的にポットで紅茶を提供した店としても知られ、店内では約55種の紅茶を460円~という良心的な価格で提供する。
「お茶が好きな人はこういう雰囲気が好き」(堀江さん)と行われたサロンコンサートでは、バロック・フルート、バロック・オーボエ、チェンバロの西洋古楽器で構成されたアンサンブルで、テレマンやクープランなどの6曲の組曲が演奏された。曲の間には、約300年前に行われていたサロンコンサートの様子や楽器の説明、作曲家についての話などを奏者がわかりやすく話し、笑いもこぼれる和やかな雰囲気のコンサートになった。
テレマン室内管弦楽団のフルート奏者として活躍中の森本英希さんは「面白い時は面白い、真剣な時は真剣に受け止めてくれるのが大阪のお客さんの特徴。お客さんに力をもらって演奏ができる。ここのお客さんは本当に音楽が好きな方ばかり」と話す。
以前から紅茶が好きでムジカに通っていたというチェンバロ奏者の吉竹百合子さんは「この店は音楽関係者の出入りが頻繁で、ある時に堀江さんを紹介してもらい、他所でのサロンコンサートに紅茶を提供してもらった」と出会いの経緯を話す。バロック・オーボエ奏者で、コンサートやイベントの企画制作を行う「そう楽舎」代表の赤坂放笛さんも、自身の演奏会で堀江さんに「お茶の話をしていただきお茶を入れてもらった」という。赤坂さんは「関東に比べて関西は演奏会が少ない。落語のように誰かがどこかでいつでも演奏している状態を作りたい。関西の地で恩返しができれば」と関西の音楽シーンを盛り上げたいと話す。
堀江さんはクラシック音楽が好きで、日本テレマン協会のコンサートなどでもティーサービスを行ってきた。紅茶を通じてつながった「茶縁」をもとに、文化的な楽しみを提供し続けている。