キヤノンギャラリー梅田(大阪市北区梅田3、TEL 06-4795-9942)で9月2日、俳優・石丸幹二さんを追った、熊切大輔さんの写真展「演じるコト-俳優 石丸幹二の1年-」が始まった。
1969(昭和44)年、東京・新宿区で生まれた熊切大輔さん。父親がドキュメンタリーの写真家であることも影響し、学生時代には芸術写真を学び、卒業後は日刊ゲンダイ写真部に入社。スポーツ、事件、特集などを担当し「人物をとらえることに興味があったので、多方面の方を撮影できた理想的な職場だった」と振り返る。しかし「報道は撮ったものを一方的に流し続けるだけ。見た人や撮られた人とのコミュニケーションをもっと取りたい」とフリーになった。現在は、食と人物を中心に、企業広告、雑誌、ウェブなどで幅広く活動する。
熊切さんと石丸さんの出会いは、役者をしている熊切さんの妻がきっかけ。妻と石丸さんが共演する機会があり、プライベートで出会ったという。劇団四季で舞台俳優として活躍していた石丸さんが2007年に退団し、1年間の充電期間を経て独立。俳優活動を再開するにあたり、石丸さんから「記録を残したい」と撮影の依頼があったという。
同展は、復帰後の5作品と1イベントを29点の作品で構成。復帰1作目となった白井晃さん演出の朗読劇「イノック・アーデン」では「緊張感があるように見えた」(熊切さん)といい、4作目の蜷川幸雄さん演出「コースト・オブ・ユートピア」では「力強い印象。役が入っていてのってきた感じ」と、石丸さんの1年間の軌跡が見てとれる内容になっている。
撮影は、「ほとんどがゲネプロ時の撮影だった」。展開がわからない中での撮影だったが、「プロ野球などスポーツを撮影した経験が生かされたのでは」と話す。「舞台写真専門家ではないが、僕なりのものが撮れたと思う」。舞台以外にも、楽屋で休憩する姿や、ファン交流イベントの様子も収める。熊切さんは「石丸さんの最初に会ったときの印象は『人柄』に尽きる。気取らず大きく見せず、等身大の自分を出される方。作品でも石丸さんの人柄の魅力が出せれば」と撮影に臨んだという。
初めて写真展を開催した熊切さんは「写真だけでなく音楽をかけ、舞台を体感するようなエンターテインメント空間を目指した」といい、7月に銀座で行った同展には、演劇ファンから写真愛好家まで幅広い層が来場した。「人によって意外な写真を気に入ったり、意外なところを見ていたりする。改めて勉強させてもらっている」と、これからも写真展を開催していきたいと意欲を見せる。
開館時間は10時~18時(最終日は15時まで)。日曜・祝日休館。今月8日まで。