「歯痛鎮静」など歯全般にご利益があるとされる「歯神社(はじんじゃ)」(大阪市北区角田町)で「歯の衛生週間」が始まった6月4日、例祭「歯神祭(通称=歯ブラシ感謝祭)」が行われた。
参列者が持参した古い歯ブラシの供養や、歯の健康と無事を祈願する祝詞奏上などの神事の後、全日本ブラシ工業共同組合(東大阪市)より奉納された歯ブラシが無料で集まった人らに授与された。
同神社は主祭神(しゅさいじん)に「歯神大神(はがみおおかみ)」をまつり、通称「はがみさん」と呼ばれ地元で親しまれている。数百年前に梅田一帯が大洪水に見舞われた際、地元の人々が農耕神としてまつっていた稲荷社のご神体である巨石が、洪水を「歯止め」したことの語呂が転じて後に「歯痛止めにご利益がある」と信仰されるようになったといわれる。
正式名称は「綱敷天神社 末社(つなしきてんじんじゃ まっしゃ) 歯神社」で、普段は、綱敷天神社御旅社(おたびしゃ)(北区茶屋町)で授与する「歯神社御守」(1体500円)や「歯神社御札」(1体1,000円)は、この日に限り同神社でも授与された。
本殿の手前にある丸い石は「なで石」と呼ばれ、ご神体の巨石のかけらとも伝わる。この石をなでで、歯の痛いところをさすれば痛みが和らぐともいい、歯ブラシを授かった後、石をなでてお参りをする人の姿も見られた。
ご神木の樹齢約80年のイチョウの木とともに立つ同神社は、カジュアル衣料品店が入るビルのすぐ横にあり、周辺には複合商業施設なども多く並ぶ。例祭は年に1度この日のみで、周辺を通行する人らも足を止め神事を見守った。