グランフロント大阪(大阪市北区大深町)12階のLIXILギャラリーで3月4日、「文字の博覧会」展が始まった。
副題は「旅して集めた『みんぱく』中西コレクション」。「文字ハンター」の中西亮(あきら)さんが世界中で集めた文字資料約80点を紹介する。字形の面白さや美しさを楽しめるほか、展示物を文化圏ごとに分けて文字の歴史も学べるようにした。
中西さんは京都にある中西印刷の6代目社長。文字への興味から、25年間に100カ国以上を旅して3000点近い資料を集めた。亡くなるまでに収集した文字は95種類。コレクションは現在、国立民族学博物館に所蔵されている。
同ギャラリー・ディレクターの高橋麻希さんは「言語は世界に数千あるが、文字は消滅したものも含め300ほどしかない。現代でも文字を持たない民族は多い」と話す。
展示の中心は、エジプト文字のヒエログリフと古代漢字「金文(きんぶん)」の複製、本物のシュメール楔 (くさび)形文字粘土板を飾ったブース。高橋さんは「文字の起源は4つで、ほとんどはエジプト文字の子孫。日本は漢字文化圏に属する。シュメール楔形文字、マヤ文字は絶えた文字」と解説する。
会場には、国の滅亡でいったん失われ、権力者が復活させた文字や、新約聖書のルカ、マタイ、マルコを一枚に書き連ねた12世紀の羊皮紙、長く未解読だったが日本の西田竜雄が大部分を解読した西夏文字などユニークな経歴を持つ展示物も並ぶ。
初日に会場を訪れた息子の中西秀彦さんは「余命半年と告知されてから『まだ行ってない場所がある』と旅立つような人。年間3回各3週間、ジープをチャーターし、ラクダに乗って資料収集に情熱を燃やした。どこでも寝られ、何を食べても腹を壊さなかった」と故人を懐かしんだ。
開館時間は10時~17時。水曜休館。入館無料。入館は南館「タワーAオフィスエントランス」から。5月17日まで。