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大阪市立科学館で渋川春海企画展-映画「天地明察」の撮影道具も

4階の展示会場の様子

4階の展示会場の様子

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 大阪市立科学館(大阪市北区中之島4、TEL 06-6444-5656)で9月4日、日本で初めて国産の暦を作り上げた天文学者・渋川春海の業績を紹介する企画展「渋川春海と江戸時代の天文学 -『天地明察』の時代-」が始まった。

映画「天地明察」の撮影に使われた象限儀

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 日本では、中国暦の宣明暦(せんみょうれき)を862年に採用して以降改暦を行っていなかったが、約800年たった江戸時代、暦と実際の日付にずれが生じていた。幕府碁方を勤める傍ら、幼いころから天文に興味を持っていた安井算哲(のちに渋川春海に改名)は1673年、幕府に対し中国の授時暦に基づいた改暦を上表。十数年かけ、3度目の請願で独自の工夫を加えた「大和暦」への改暦が宣下され、貞享暦(じょうきょうれき)の名で1685(貞享2)年、国産初の暦が施行された。

 2010年本屋大賞を受賞した冲方丁さん原作「天地明察」の映画化で「知る人ぞ知る天文学者である渋川春海が注目を集めてうれしい」と、国内でも少ないという江戸時代の天文学を研究する同館学芸員の嘉数次人さんが企画した同展。4階の通常展示「江戸時代の天文学」に35点の資料を加え、渋川春海の業績を紹介する。

 会場には、現存する最古の肖像画や碁打ちとして活動していた時代の棋譜、暦の計算法を記した資料や貞享暦施行期の暦などを展示。見どころは渋川春海が刊行した「天象列次之図」「天文分野之図」「天文成象」の3枚の星図。「3点が同時に展示されるのは初めて」と嘉数さん。大阪歴史博物館(中央区)では、連携展示として「町人天文学者 間重富の天文観測と暦」も開催する。

 今月15日には、岡田准一さんが主人公・安井算哲を演じる映画「天地明察」が公開。同作の撮影に使われた象限儀(しょうげんぎ)や圭表(けいひょう)、算額などの道具類も展示する。嘉数さんは「当時の天文学は、月の満ち欠けと天文占いの科学と非科学が入り交じった国家のための学問。映画や原作でファンも多いと思うので江戸時代の科学がどういうものだったか興味を持っていただければ」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。観覧料は、大人=400円、高・大生=300円、中学生以下無料。月曜休館。10月21日まで。

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