大阪市中央公会堂(大阪市北区中之島1)で2月25日、大学・専門学校の中途退学について考える「学内を変えよう!中退予防EXPO」が開催された。
学習意欲の低下やニートの12%が大学中退者という現実を受け、大学生中途退学予防事業として大阪府が初めて取り組む「マイフェイバリットカレッジ大阪」。教職員・学生と中途退学予防の実態を調査し、各大学の取り組みを共有しながら大学生の中退予防へのモデルケースを考える。府から受託するNPO法人「スマイルスタイル」が運営する。
各大学・専門学校の研究と取り組みを発表する同シンポジウムには、大学・専門学校・高等学校教職員ら100人が参加。引きこもり、不登校、中退の研究をする大阪大学非常勤講師の井出草平さんは、大学生の長期欠席・中退者の72.9%は高校までは不登校でなかったといい、クラスがないことでコミュニケーション形態が変わったためコミュニケーションが取れずに退学してしまうケースや、宿題などの受動的課題が少なくなることから目標を見つけられずに退学してしまうケースが多いと話す。神奈川工科大学の取り組みにより退学者を減らした例を挙げ、退学者が減少すると授業料や私学助成金の損失も減ると学校側のメリットも挙げた。
スーパーバイザー制を導入する宝塚大学では、4年間の担任としてスーパーバイザー、アドバイザー2人を学生が選択。不登校の学生に対しスーパーバイザーが面談し、DRP(中退者減少プロジェクト)委員会の面談を受け委員会の認証がないと退学できない仕組みを作った結果、中退者は半数に減ったと発表。サークルに参加させたり、保護者相談会を実施するなどの取り組みも行っているという。「学生の面倒見がいい大学」6位(女子大学で1位)に選ばれた梅花女子大学では、学生自治会と教育後援会と連携してクラブ支援を行ったり、あいさつや地域清掃などを行うなどの取り組みを紹介。教育寮では学部・学年を越えた生活を行うことで協調性、責任感、忍耐力を養い退学者が少ないことから、クラブやゼミに応用できないかと取り組んでいると話す。
学生の自発性を育てる取り組みをする龍谷大学東田ゼミでは、ゼミ生全員で年間50のプロジェクトを実施する取り組みを紹介。第1志望でなかったことから大学で楽しさを見い出せなかった学生がゼミに参加し、「目の前で楽しいと言っている先輩を見て私も楽しみたい」と変わったと発表。プロジェクトの実行でできることがわかり、次への課題を見つけることで成長を実感できたと話す。同事業に参加し取り組みを始めた大阪デザイナー専門学校は、補習をポジティブにするプロジェクトや被災地支援によるキャリア教育授業を実施。羽衣国際大学映像学科では、被災者の声を学生が取材・編集するドキュメンタリー映像を制作し発表するなど、各校が学生を成長させる取り組みを発表した。