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天六で企画展「原信太郎 鉄道模型を極める」-ものづくりの魅力発信

大阪鉄道デイ1形と京福電気鉄道1番ゲージ

大阪鉄道デイ1形と京福電気鉄道1番ゲージ

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 大阪くらしの今昔館(大阪市北区天神橋6、TEL 06-6242-1170)で7月16日、企画展「原信太郎 鉄道模型を極める-関西の鉄道・まち-」が始まった。

8年の歳月をかけて完成したイタリア「FS E626形」1番ゲージ

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 子どものころから80余年にわたり、世界の鉄道模型約1000両を製作し、鉄道関連資料約4000点を収集してきた原さん。1990年には、芦屋市の自宅内に100畳の「シャングリ・ラ鉄道模型博物館」を開設した。

 1919(大正8)年東京生まれの原さん。幼少期は品川の電車区に出入りする電車を眺め、電車の形式などを覚えていた。4歳の時、祖母からプレゼントされたブリキの電車で遊んでいたところ、関東大震災に遭遇。必死の思いでブリキの電車を抱えて逃げた。このブリキの電車が、原さんと鉄道との始まりだったという。

 その後、原さんは13歳で第1号車両を制作。当時は材料が手に入らず、はがしたトタン屋根の古くなったものでボディーを作った。「現在は経済的にも近隣の国々に追い上げられ、物によっては抜かれている。これでは今までのような経済状態は保てない。当時は日常生活に金属がない。身近にあったのはのりの缶とトタン屋根。今は既製のものを買ってくる時代だが、既製品を100両集めるより1両を自分で作ってもらいたい」と、ものづくりへの情熱を見せる。

東京工業大学工学部機械学科を卒業した原さんは「鉄道はハイテクの最先端のものを駆使して作られているもの。技術が面白ければ、国内、海外問わず世界各国の車両を見て回った」という。「約80カ国は回り、主要都市の路線図は頭に入っている。資料を理解するためにロシア語、ドイツ語、フランス語などはほぼ話せるようになった」

 原さんの模型の特徴は、外観だけでなく動力機関まで忠実に再現されている点。普通、模型の場合は線路から電気をとるが、原さんの模型は本物の電車のように架線から電気をとっている。蒸気機関車の模型も石炭などの燃料で動き、音まで作り込む。阪神・淡路大震災では自宅の博物館も被災したが、「壊れたのは悲しいが、おもちゃが壊れたような壊れ方ではなく、電車のような壊れ方だと喜んだ」とも。

 会場には、蒸気機関車や「大阪鉄道デイ1形」「京福電気鉄道」「箱根登山鉄道タイプ」「阪神電気鉄道311形」などの1番ゲージや、各国の鉄道模型、それらを作るために作ったパーツや基となる資料を展示する。2012年には横浜に開館する「世界鉄道模型博物館」に、所蔵するうちの約1000両を展示予定。大阪で見られるのは最後になる可能性もあるという。

 開館時間は10時~17時。観覧料は、企画展のみ=300円、企画展+常設展=一般800円、高・大生500円。今月26日、8月2日・9日・16日・23日・30日休館。9月4日まで。

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