尿からがんリスクを判定する検査「N-NOSE(エヌノーズ)」の検体受付を行う拠点「N-NOSEステーション OSAKA」(大阪市北区梅田1)が1月18日、大阪・梅田の大阪第一生命ビルディング地下1階にオープンした。関西初開設となる。運営は、HIROTSUバイオサイエンス(東京都千代田区)。
同社の広津崇亮社長は、「犬ががん患者の匂いを嗅ぎ分けられる」という研究をヒントに、自身が九州大学で研究していた犬の1.5倍嗅覚が優れた線虫を使い、尿1滴でがんのリスクを判定できる検査「N-NOSE」を研究開発した。線虫とは体長1ミリほどの小さな生物で、「がん細胞から出る老廃物特有の匂いに集まり、健康な人の尿からは逃げる」という特性があるという。
同検査は昨年1月より医療機関を通じて実用化したが、新型コロナ感染拡大により、がん検診の中止や縮小する病院が増え、感染を恐れ病院でがん検診を控える人も増えた。このような風潮を受け同社は昨年11月1日、東京と福岡に医療機関を通さず同検査を受けられる「N-NOSE ステーション」を開設した。各施設では1日当たり、約100人が検体(尿)を持ち込むという。
臨床研究では、線虫は胃、大腸、肺、乳、すい臓など15種類のがん患者に対し、86.3%の確率で発見し、ステージ0や1の早期がんにも反応するという。検査費用は、1回1万1,550円。同社広報の永溝はるかさんは「検査方法が手軽で、価格も安価なため、がんの早期発見から早期治療につなげる『一次スクリーニング検査(がん検診の入り口としての検査)』として活用してほしい」と呼び掛ける。
検査の流れは、専用サイトで検査キットを購入後、施設に検体を持ち込む日程の予約を入れる。指定期日に、4時間以内に採取した尿を専用容器に入れ提出する。検査結果は約6週間後に郵送され、がんリスクの高低を3色に色分けしたグラフ上に示す。がんリスクが高い場合は、医療機関の検査、診断を勧める。
オープン初日に、検体を持ち込んだ大阪市在住の40代女性は「昨年、知人が喉頭がんで亡くなり、がん検診の大切さを痛感した。病院がコロナ対応でひっ迫する現状では、なかなか検診には行きづらい。この検査は気軽に受けられ、不安が取り除ける。がんリスクが高い結果が出たら、病院に行くきっかけにもなる」と話す。
営業時間は8時~16時(土曜は9時~)。日曜・祝日定休。