グランフロント大阪・南館「タワーA」(大阪市北区大深町)12階のリクシルギャラリーで12月8日、貝の収集や研究に一生をささげた「貝人」たちを特集する企画展が始まった。
日本貝類学の先駆者とされる実業家・平瀬與一郎や、京都大博士で貝研究の礎(いしずえ)を築いた黒田徳米など、貝の世界に生きた俗称「貝人」たち10人を特集。「ニッポン貝人列伝 ―時代をつくった貝コレクション―」と題し、10者10様の生き様を紹介する。
会場は人物ごとに事績をまとめた構成で、平瀬與一郎、平瀬信太郎、黒田徳米、菊池典男、鳥羽源藏、吉良哲明(てつみょう)、山村八重子、波部忠重、櫻井欽一、河村良介の順に創作・著作物を展示する。各人が集めた貝の標本は約150種類が並び、造形の不思議さ、美しさを楽しめる。
貝への情熱が人から人へと受け継がれる過程が見どころの一つ。「貝研究の巨人」平瀬與一郎に、15歳で町役場から引き抜かれた黒田。黒田に学んだ波部は日本産貝類の約5分の1、1300以上の新種・新属を発見した。平瀬の息子、信太郎は日本初のカラー貝類図鑑を刊行。保育社「原色日本貝類図鑑」を刊行した吉良は、研究誌「夢蛤」で河村ら貝愛好家たちを結び付けた。
同ギャラリー・ディレクターの高橋麻希さんは「造形の美しさにとどまらず、貝のその先にあるものに目を向けた展示になった。魅力的な貝研究家・収集家、10人10色の関わり方にぜひ触れてほしい」と話す。
開館時間は10時~17時。水曜、12月30日~2018年1月4日・2月18日休館。入館無料。入館は南館「タワーA」オフィスエントランスから。2月20日まで。