大阪・中津のシカク(大阪市北区中津3)で現在、「ご休憩 昭和遺産ラブホテル展」が開催されている。
きらびやかな照明、宇宙っぽい内装、回転ベッド、仕掛けベッドなど、昭和期のラブホテルの内装や看板、寝具などをパネルと映像で紹介する同展。作者の逢根(あいね)あまみさんが近畿圏のラブホテルを中心に訪ね歩き、撮りためた写真から、24点を選んで展示する。
京都府に住む主婦の逢根さんは、雑誌「八角文化会館」の創刊号を読み、廃れつつある施設や珍スポットに興味を持った。2013年に写真集「ラブホテル・コレクション」(村上賢司著)で知った「アイネ香芝」(奈良県香芝市)を訪れ、そのレトロな魅力に感動。以来、「古いラブホテルの素晴らしさを記録したい」と、時間を作ってホテル巡りを続けてきた。
取材先は近畿圏が中心だが、広島県や石川県、静岡県など、自動車で片道5時間以内の範囲なら足を延ばす。ホテル情報サイトの「内装が古かった」という感想をヒントに一覧を作り、ローラー作戦で回る。訪ねたホテルは150軒以上、実際に取材した部屋は約50室を数える。「取材経費がすごい。もう、貯金を切り崩す勢い」と逢根さんは苦笑い。今回の展示は主に知名度が低く、かつ現存する施設で構成した。
個性的な「ラブホテル文化」が花開いたのは1960年代後半~1985年とされる。同年の改正風営法施行を境に、鏡張りの部屋や仕掛けベッドなどの新設は制限された。既存施設は法規制を免れたが、残された旧法時代のラブホテルも、近年は経営者の高齢化や経済的事情のために激減。逢根さんが取材したホテルもすでに約3分の1が廃業してしまったという。
逢根さんは「立地の関係や、不安などから『興味はあるけど行きにくい』という人もいる。将来的に『ラブホツアー』などを企画して貴重な昭和遺産の存続に役立てられたら」と話す。
営業時間は14時~20時。火曜・水曜定休。7月2日・3日は逢根さんが在廊予定。
7月3日まで。