グランフロント大阪(大阪市北区大深町)北館の「The Lab.」で7月30日、「ROBOTINITY ロボットらしさとはなんだろう展」が始まり、ホームレスをかたどったロボット「ディルク」が日本初公開された。
世界のロボットプロジェクトを紹介し、「ロボットらしさ」を探求する同展。ディルクは、自由に道を歩き回れる人間型アンドロイドで、オランダ・アムステルダムに拠点を置くアート・ユニット「エレクトリック・サーカス」が開発した。
長く伸びた灰色の髪に、くたびれた紺のジャケットを着た風貌が特徴のディルク。袋をいくつもつった手押し車をきしらせ、緩慢な動きで歩き回る。手のひらにコインを握らせると、うれしそうにハンドル式のオルゴールを鳴らす。仕草も外観もあまりに本物らしいため、ドイツのショッピングモールで逮捕されたこともあるという。
孫2人と来場した愛知県在住の女性は「本物の人間が歩いてきたと思った。ロボットってすごいものですね」と驚いた表情を見せていた。
開発を手掛けた発明家のフレッド・アベルスさんは「ホームレスは社会に取り残されているようでも社会の一部。その存在感に引かれた」と話す。「ホームレスには、貧しい人というだけでなく、自由で尊敬されるべき人という側面もある。日常とは違う驚きや、固定観念を覆す気づきをディルクは提供する」とも。
同展のテーマ「ロボティニティ(ロボットらしさ)」は、ヒューマニティー(人間性)に対する造語。同展に協力しているオーストリア・リンツ市のクリエーティブ・文化機関「アルスエレクトロニカ」が提唱している。会場ではディルクのほかにも、折り紙をモチーフにしたロボット照明器具「オリボティクス」や、3Dプリンターで自作できる小型ロボット「PLEN2」など、ロボットに関わる最先端のアートプロジェクトや作品を紹介する。
ディルクの公開は7月31日、8月1日の2日間限定(時間非公表)。開館時間は10時~21時。入場無料。10月4日まで。