阪神梅田本店(大阪市北区梅田1)の屋上遊園が2月28日に閉園し、50年の歴史に幕を閉じた。
1958(昭和33)年、増築完成した9階屋上に遊戯施設が登場。翌1959(昭和34)年にはモノレールやミニ観覧車、メリーゴーラウンドなどが登場し、1963(昭和38)年には大阪神ビルが竣工。現在の12階屋上遊園が誕生した。ピーク時だった1985年から1989年ごろまでは、土曜・日曜・祝日には1日1000組以上が来園しにぎわいを見せていたが、少子化や子どもの遊びの多様化などにより来園者は減少。土曜・日曜・祝日でも1日の来園者は約200組程度となり、同ビルの建て替え準備のため閉鎖が決まった。大阪市内では、同園が唯一残っていた屋上遊園だった。
今月12日に閉園が告知されると閉園を惜しむファンらが訪れ、最終日は約500組が来園。妹、息子と来園した谷崎一乃さん(36)は「息子が幼稚園に上がる前は、梅田に出る度にここに寄っていた。新聞で今日が最後だと知って幼稚園から駆け付けた」という。「阪神のおっちゃんの人柄が優しくて、おっちゃんとこの雰囲気が好きでよく来させてもらった」とほほ笑む。
多くのファンが惜しむ中17時30分に閉園の時間を迎えると、遊園地を営む三島商会の村上洋人さんが来場者に順番に声を掛け片付け始めた。村上さんの周りには最後の仕事をカメラに収めようと訪れたマスコミや来場者が群がり、同園のファンだった親子が花や手紙を渡したり、お菓子をプレゼントした子どもと村上さんがハイタッチをしたりするなど、最後の交流を楽しむ様子が見られた。
同ビルと南側の新阪急ビルは一体化し建て替える計画になっており、新阪急ビルのブックファースト梅田店なども28日で閉店する。