フェスティバルホール(大阪市北区中之島2、TEL 06-6231-2221)で4月3日、開業記念式典が開催された。開業は今月10日。フェニーチェ歌劇場のガラ・コンサートで新たな幕を開ける。
1926(大正15)年、1600席のホールを持つ黒い外壁に金の窓の縁取りが施された「朝日会館」を建て、1958(昭和33)年には2700席(閉館時)のフェスティバルホールを持つ「新朝日ビル」を建設した朝日新聞社。同ビルも建て替えとなり、フェスティバルホールは2008年に一度閉館。昨年11月に「中之島フェスティバルタワー」が竣工し、新しいフェスティバルホールの開業準備が進められてきた。
新ホールは旧ホールと同じ2700席で、複雑な演出もできるよう新設備を設置。客席の座面幅や前後間隔を広げてゆとりのある鑑賞空間を作り、幕あいに行列ができていた女性トイレは3倍に数を増やすなど、「重厚感や高級感など継承するところは継承し、ハード面は改善した」。
開業記念式典は、大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部80人のファンファーレで開会。主催者代表あいさつでは朝日新聞社の木村伊量社長が登壇し、「旧ホールは『天井から音が降る』と称され、さまざまな分野のアーティストがコンサートを行ってきた。これまでもこれからも、質の高い文化を、大阪の元気を発信して参りたい」と語った。
来賓代表では、旧ホールで202回のコンサートを開いた歌手のさだまさしさんが登壇し、「最初にこのホールに立ったのは、ほかの歌手のコンサート。いつかこんなステージでできればと思っていたが程なくグレープが解散し立つことはなかった。ソロになって1978(昭和53)年に単独コンサートをすることができた」と振り返り、「音楽の神様がこのホールをつくったとずっと言ってきた。閉館すると聞いて引退しようと思ったが、神様の作ったホールがまた4月に戻ってくると思ったら元気になってきた」などと祝辞を述べた。
その後、緞帳(どんちょう)の披露贈呈式が行われ、アサヒビールが金箔(きんぱく)を多用した「柳橋水車図屏風」を、パナソニックが栄華な時代の大坂城を描いた「豊臣期大坂図屏風」を原画とした緞帳(どんちょう)を、それぞれ贈った。いずれも幅30メートル、高さ12.6メートルで、音楽ホールの緞帳としては国内最大という。贈呈式の後には、能楽「猩々(しょうじょう)乱れ」、大坂フィルハーモニーによる記念演奏が披露された。
同ホールでは今月、閉館とともに中断していた第51回「大阪国際フェスティバル」を再開。ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団や、指揮者・佐渡裕さんとピアニスト・辻井伸行さんの共演、大植英次さん指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートを予定する。