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天三で飛田晋秀さん写真展「福島のすがた」-警戒区域の現状伝える

関西大学リサーチアトリエで開催中の「飛田晋秀写真展 福島のすがた ~3.11でとまった町~」

関西大学リサーチアトリエで開催中の「飛田晋秀写真展 福島のすがた ~3.11でとまった町~」

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 関西大学リサーチアトリエ(大阪市北区天神橋3、TEL 06-6940-4340)で11月15日、福島県警戒区域の現状を伝える「飛田晋秀写真展 福島のすがた ~3.11でとまった町~」が始まった。

浪江町の写真

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 環境社会学専攻の関西大学社会学部助教の大門信也さんが福島で原発の調査や周辺住民の話を聞いていたところ、警戒区域を撮影している写真家・飛田晋秀さんが関東で個展を開いていると知り企画。大学での開催も考えたというが、「広く一般の人に知ってもらいたい」との思いから同スペースでの開催を決めた。関西での開催は初めて。

 飛田さんは1947(昭和22)年福島県田村郡三春町生まれ。これまで全国の旧城下町の鍛冶職人や地元の田園風景を被写体とした写真を撮ってきたが昨年3月11日、東日本大震災が発生。飛田さんの住む三春町は福島第一原発から約50キロのあたりで警戒区域にはならなかったが、警戒区域からの避難者のサポートをするうち「報道写真家ではない」と悩むも、「記録し伝えなければ忘れられてしまう」との思いから警戒区域の記録を始めた。撮影は避難者の一時帰宅の同行者という形で行われた。

 同展では、警戒区域に指定された浪江町、双葉町、大熊町、富岡町で撮影した102点を展示。倒壊したままの街並みや基礎だけで止まった新築工事、野生化した家畜、打ち上げられた船、人や車がいないのに機能する信号など、震災から1年が経過しても震災発生時から何も変わっていない街を写し出している。大門さんが福島を訪れた際、全村避難で葛尾村から三春町に避難していた20代前半の女性に「同世代の若者に伝えたいことは?」と問いかけたところ、女性は「誰もいないまちが本当にあるんだよ、ということを頭の片隅にでもおいておいてほしい」と答えたといい、大門さんは「このシンプルな言葉にふるさとを追われる苦しみのはかり得ない深さを感じた」と話す。

 大門さんは「自分の生活と同じ空間に、写真に写っている空間がある。もう一度3.11の時の感覚を取り戻し、これからどうしていけばいいか、何を教訓にすればいいかを考えてもらうきっかけになれば。多くの人に知ってもらいたいので来てほしい」と呼び掛ける。

 開場時間は12時~18時(土曜・日曜は10時~)。入場無料。今月21日まで。17日の13時30分~・15時~は、飛田さんが撮影に行った時の状況や写真の解説をする講演会を開く。各回45分。

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