エイチ・ツー・オー リテイリングは9月12日、現在建て替え工事中の阪急うめだ本店(大阪市北区角田町)を11月21日にグランドオープンすると発表した。グランドオープンに先立ち、現在工事中の2期棟部分は10月25日に先行オープンする。
会見に登壇した椙岡俊一会長は、現在の生活者傾向について「物を十分に所有する中で興味が物から『暮らし方』に移ってきている」とし、「生活文化業態の百貨店をあらためて目指す店にしていきたい」と話した。「かつてのように、百貨店へ行くことにワクワクし、買い物をする楽しさを感じてもらおう」と、暮らし方やライフスタイルを提案する「情報リテイラー」へと転換し、商圏と客層の拡大を狙う。
地下2階~地上13階、売り場面積は従来の1.4倍の8万平方メートルに増床する。2階、3階、5階の売り場約1万平方メートルには、3つの「ラグジュアリーワールド」を配置。2階にはグッチやプラダなどラグジュアリーブランドのバッグや革小物を集積し、比較購買しやすい「インターナショナルバッグギャラリーズ」や、ラグジュアリーブランドのブライダルジュエリーが選べる世界初の「ブライダルジュエリーギャラリーズ」も登場。3階はモードファッションブランドを集積し、5階はシャネルやルイ・ヴィトン ウイメンズストアなど日本最大級の30ブランドを展開する。
6階には、ファッション性の高いブランドを充実させた大きいサイズの婦人服が登場。11階のベビー・子ども服フロアには、キッズのインターナショナルブティックがオープンする。内山啓治専務は「このラインアップで西日本全域、海外からの集客も想定している」と話す。
客層の拡大を狙った展開では、3階にコンテンポラリートラッド、エレガンススタイルを提案する「うめはんシスターズ」、4階に働く25歳をターゲットにした「うめはんジェンヌ」を新設。百貨店離れをしているといわれる20代女性に照準を合わせ、ファッションやコスメ、アクセサリー、ルームウエアなどトータルに提案する。
10階には、ライフスタイル雑貨売り場「うめだスーク」が新たに登場。フロアを3つの「街区」で構成し、新進作家によるファッション雑貨やギフト雑貨、文具雑貨、手芸用品などを販売。フロア中央では、12のショップが小屋仕立てで登場し、さまざまなテーマで期間限定ショップを展開する。8階には、スポーツファッション「イングス」と紳士服洋品フロアが登場。1982(昭和57)年以来営業してきた「イングス館」は、11月18日の営業で閉館する。
12階・13階には、総席数1700席、26店舗のレストラン街が登場。地下1階から地上11階までの12フロアには、建て替え前の1.5倍の規模となる計14店舗のカフェを用意し、800席を設ける。レストスペースも約300席確保し、屋上広場にはベンチも配置する。
今回の増床工事で売り場面積の約20パーセントにあたる1万4000平方メートルは非物販スペースに充て、生活文化情報を発信。9階の吹き抜け大空間「祝祭広場」や阪急うめだホール、阪急うめだギャラリーでは発信性の高い企画や体験型イベントを開催。全館24カ所のイベントスペースでは、西宮や博多の店舗で実施をしている、モノの使用価値や物語を伝える「コトコトステージ」を繰り広げる。サービス面では、1歳~6歳の子どもを預かる有料キッズルームや、ショッピングをサポートするエスコートスタッフ70人の配置、手荷物を預かるクロークサービス、冷蔵コインロッカーの設置などを開始する。
「各百貨店が個性化し、相乗効果で集客が高まるのでは」と椙岡会長。名古屋~九州エリアを商圏とし、初年度5000万人の来場、メンズ館と合わせ2,130億円の売り上げを目指す。