大阪くらしの今昔館(大阪市北区天神橋6、TEL 06-6242-1170)で7月14日、世界の木製玩具約300点を展示する「世界の木のおもちゃ 春日明夫トイ・コレクション」が始まった。
主にキッズデザインの観点からおもちゃや遊具、インテリアや日用品など子どものためのデザインを研究する東京造形大学教授の春日明夫さん。中学校で美術科教師をしていた昭和50年代に「子どもたちが食いつくものは何か」と思案したとき、からくり玩具に出会った。その後本格的に収集を始め、25年にわたり45カ国以上の木製玩具約6000点を集めた。
同展では、デザインが優れている、素材が自然材である、機能性や教育性が優れている、物語性に富んでいる、民族的で伝統性があるなどの観点から約300点を精選。「大人にもそれぞれのおもちゃにどんな役割があるか考えてもらいたい」と4つのテーマに分け構成した。
「子どものあそびと玩具」では、「玩具は子どもが生まれて初めて出会うアートであり文化財」とし、乳幼児期のおもちゃを集積。感覚を楽しむおもちゃや「お散歩ごっこ」を楽しむプル・トイ、プッシュ・トイ、積み木やパズルなどの構成玩具などを展示する。「おもちゃの多い国は経済が発達していて教育に力を入れている国。積み木など遊び方を創造できるものがいいおもちゃで、壊したりまた作ったりすることで精神的な感性を養うことができる」と解説する。
「からくり仕掛けの人形玩具」では、日本のからくり人形作家・西田明夫さん、原田和明さんらの作品を展示。チェコで活躍する佐久間奏多さんの糸繰り人形も多数並ぶ。イギリスのからくり玩具はユーモアを交えた大人も楽しめるものや、流木や古材など廃材を使いその風合いを楽しむものなどを展示する。
「世界の伝統的な玩具」では、ドイツのくるみ割り人形や米ニューイングランド地方の風力を利用する「ウィルリーギッグ」、スウェーデンの「ダーラナホース」、ロシアのマトリョーシカなどのおもちゃや人形を展示。それぞれの国の伝統的なおもちゃで民族性を感じることができる。「住まいと玩具」では、部屋に飾る目的で作られたインテリア・トイ「ウッデンドール」、建築家が作った積み木やパズルなどを展示する。
8月5日には、春日さんが木製玩具の魅力を紹介する講演会も開催。春日さんは、「おもちゃは人の心を和ませる力を持っている、幸せになるために作られたもの。なぜこのような形になったのかなど見ていただければ」と話す。
開館時間は10時~17時。入館料は、企画展のみ=300円、常設展とのセット=800円。9月2日まで。