大阪市は6月15日、市役所本庁舎(大阪市北区中之島1)屋上緑化施設の一般公開を始めた。
ヒートアイランド現象の緩和に寄与する効果があるとともに、さまざまな生き物の生息・移動の拠点として生物多様性を高める効果があるとされる屋上緑化。大阪市では、都心部の建物への必要性を考えてもらいたいと2003年に整備を開始。2004年より公開している。
同施設は、北側と南側に異なるコンセプトを持つ空間を作って都市の緑の大切さを提案。面積約370平方メートルの北ブロックでは、実のなる木や野草を中心に鳥や昆虫が好む植物を配植。雑木林や里山に近い環境を作ろうと手を加えないため草が生い茂り、自然の姿を見せている。
約400平方メートルの南ブロックは、「明るく開放感があり、四季の移ろいを感じることができる庭園ゾーン」として、花木や地被植物を中心に配植。常用針葉樹や「世界バラ会議大阪大会2006」のシンボルローズとされたバラ「ローズ オオサカ」などを植え庭園空間を創出する。
2004年から2009年の6年間の調査では、イソヒヨドリやメジロ、モズなど12種類の鳥類と、アオスジアゲハ、ニホンミツバチ、タイリクアカネ、ニシキリギリスなど292種類の昆虫類を確認。植物は118種を植えたが、その後自然に生えた植物やキノコ176種が確認され、枯れたり新しく芽生えたりして2010年の時点では102種が見られる状態になっている。
2010年に実施した温度測定では、タイル面の表面温度と地中30センチの地中に埋めたタイル面では5度~15度の差があり、植物の表面温度は気温より3度~5度低い温度が計測された。
昨年は週3日の公開で2447人が見学に訪れた。大阪市ゆとりとみどり振興局の名頭薗正人さんは「市役所に来たついでに立ち寄ってくれる方や、報道などで知って見にきてくださる方などさまざま。緑の大切さを考えていただくきっかけになれば」と話す。
公開日時は、毎週金曜の13時~15時30分。予約不要。11月30日まで。