アサヒビール(東京都墨田区)が食と健康をテーマに開設した双方向コミュニケーション拠点「アサヒ ラボ・ガーデン」(大阪市北区小松原町)で11月29日、「初号アサヒビール復刻版」発売を記念したイベント「120前に大阪で生まれたアサヒビール」が開催された。
「初号アサヒビール」は1892(明治25)年、アサヒビール前身の大阪麦酒会社吹田村醸造所(現・アサヒビール吹田工場)で製造・出荷されたもので、現在の会社名の由来ともなったもの。重くて苦いイギリス風のビールしかなかった当時、本格的な国産ビール製造を目指して同社を設立し、ドイツの最新技術を導入して製造した。
製造当時の分析値や処方を基に再現した復刻版は、「コクと飲み応えが特徴」の麦芽100%ビールで、当時のラベルデザインも忠実に再現。裏面には、出荷記念式典や「吹田村醸造所」の絵を入れ、ビールの歴史を感じられるデザインにした。今月29日から全国のスーパー、コンビニ、酒販店で350ミリリットル缶、500ミリリットル缶を数量限定で販売している。
イベントでは同社資料室の菅野直樹さんが講師となり、当時のエピソードを交えながらビールの歴史、同社の歴史を紹介。同社を設立した各人の紹介、「アサヒビール」の名前の由来、ビールびんの形状などについて話した。その後、現在の大阪市庁舎付近にあった同社直営のビアホール「アサヒ軒」を紹介し、当時の「おつまみ」を検証。1902(明治35)年当時のメニューについて、「おつまみというよりは、しっかりした洋食だった」と話した。
参加者には、「初号アサヒビール復刻版」と、西洋料理書をもとに当時の味を再現した「アサヒ軒」の「カレイライス」「サラダ」を提供。赤大根、レタス、タマネギ、ゆで卵に牛乳、砂糖、塩、練りからしで作ったドレッシングをかけたサラダ、ジャガイモの入ったビーフカレーと、再現するため現在4~6度で提供するビールを、当時と同じ8~10度で提供。「もっと冷たかったらおいしいのに」という参加者に、「当時はお燗(かん)も提供していた」などと解説しながら、当時のビアホールの味を味わった。
同施設では今後、芋焼酎をテーマにしたセミナーや、ブックディレクター・幅允孝さんをファシリテーターに迎え、お酒を飲みながらテーマ本について語る読書会を予定する。イベント情報はホームページで確認できる。