
「安藤忠雄展 青春」が3月20日、グラングリーン大阪(大阪市北区大深町)の文化体験施設「VS.(ヴイエス)」で始まった。
建築家の安藤忠雄さんが設計・監修し、昨年9月にオープンした「VS.」で開催する同展。1969(昭和44)年から現在まで半世紀にわたる安藤さんの建築設計活動の軌跡を紹介する。タイトルの「青春」には、米の実業家で詩人のサムエル・ウルマンの詩「Youth(青春)」に共感する安藤さんが「人間も建築も、いつまでも青いまま、挑戦心に溢(あふ)れていたい」との思いが込められている。
会場は、「挑戦の軌跡」「安藤忠雄の現在」の2つのゾーンに分け、国内外約60の建築プロジェクトに関する模型や、安藤さんによるスケッチやドローイングなど約230点を展示する。各プロジェクトは、建設工事の様子や完成した建物を撮影した写真をスライド映像にして紹介する。
「挑戦の軌跡」には、安藤さんの出世作「住吉の長屋」(大阪)をはじめ、「六甲の集合住宅」(兵庫)、「淡路夢舞台」(同)、「ピューリッツァー美術館」(米セントルイス)、「表参道ヒルズ」(東京)など個人住宅から大規模施設まで拡大・多様化するキャリアを紹介。天井高4.5メートルの展示空間では、季節が移り変わるパノラマ映像や水を張った水盤を用意し、北海道・占冠村にある水上に十字架が浮かぶ「水の教会」の景色を原寸大で再現する。
「安藤忠雄の現在」には、安藤さんの最近作や現在進行中のプロジェクトを6つのテーマに沿って紹介する。80年代後半から現在も続く直島アートプロジェクト(香川)、安藤さん自身の資金で設計・建築し、地方自治体に寄贈をする児童図書館「こども本の森」など展示する。天井高15メートルの展示空間の3面に「光の教会」(大阪)、「真駒内滝野霊園頭大仏」(北海道)、「ブルス・ドゥ・コメルス」(仏パリ)の3作品の映像を映し出す体験型展示を設ける。
安藤さんは「60歳でも70歳でも、ひたすら前を見て目標を持つ限り『青春』。知的体力、肉体的体力、面白いことをやろうとする心意気が必要。大阪や関西の人に感動してほしい、志をしっかり持って前に行ってもらいたいと思い、原寸大の『水の教会』の展示を企画した」と話す。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜・祝前日は20時まで)。料金は、一般=1,800円、大学生=1,500円、高校生=1,000円。中学生以下無料。月曜休館(祝日の場合は営業)。7月21日まで。