グランフロント大阪(大阪市北区大深町)12階のLIXILギャラリーで6月5日、「鉄道遺構・再発見」展が始まった。
全国に点在する鉄道遺構を集め、主に写真で紹介する同展。「遺構を見ると当時の技術や暮らしを想像できるし、学ぶこともたくさんある」と同ギャラリーのディレクター、高橋麻希さんは見どころを語る。
取り上げるのは、役目を終えて廃線となった鉄道の遺構14件。打ち捨てられたり、転用されたりしている線路やトンネル、橋などを、土木写真家の西山芳一さんが撮影した写真や、当時の写真、映像を使って紹介する。
高橋さんは「生活に不可欠な鉄道は人、物資、文化を乗せて走る技術の結晶。橋もトンネルも当時最高の技術で作られた。『リベット留め工法』のように、今では技術者が減り再現できない技術もある」と話す。「おすすめ」は実際に足を運んだという山梨県の「大日影トンネル」で、内壁に堆積したすすや、建築素材が変化する様子など、今なお建築物から発せられる当時の情熱に深く感動したという。
会場では、魚梁瀬森林鉄道(高知県)や足尾鉄道(栃木県)、横浜臨港貨物線(神奈川県)を当時の古写真や映像を交えて大きく取り上げるほか、複線化計画がとん挫したために偶然生まれた「下駄歯橋梁」(福岡県)などあまり知られていない美しい建築物を紹介。日本初の鉄道に使われた実物の英国製レールや、「犬釘(くぎ)」の語源となった犬の頭の形をした初期の釘も展示する。
京都から訪れたという村田一友さん(49)は「よくこんなところに、こんなものを敷いたなと感動した。当時は人力だったはずで、大変だったと思う」と感想を語った。
開館時間は10時~17時。水曜と8月12日~16日は休館。入館無料。入館は南館「タワーAオフィスエントランス」から。8月18日まで。