設計・製造を進めていた阪急電鉄の新型車両1000系が完成し11月28日、梅田駅で出発式が行われた。
「全てのお客さまに快適な移動空間~さらなる環境性能の向上~」をコンセプトに掲げ、開発した同車両。前形式車両の9000系、9300系車両の開発コンセプトを継承しつつ、静粛性や省エネルギー性能の向上を目指した。製造は日立製作所。
特徴である「静かさ」については、全閉式高効率主電動機の採用により前形式車両より客室内の騒音レベルを約40%低減。低騒音型の駆動装置、フラット防止機能付きブレーキシステムの採用でさらなる騒音低減を図った。消費エネルギーは、最新の制御装置を採用するなどし、車内灯など全ての照明装置をLED化することで既存車両の約50%削減を達成している。
アルミダブルスキン構造の車体採用に加え、車内の仕切り板の大型化、手すりの設置など安全性にも配慮。各車両に1カ所ずつ車いすスペースを設け、車いすの移動が楽に行えるようスペースも拡大した。32インチハーフサイズの大型液晶ディスプレーでは、駅間では2画面に区切り、ニュースや天気予報、広告などを表示。駅名はインバウンド対応として日本語、英語、中国語、韓国語を表示する。
マルーンとアイボリーの車体色、木目調の化粧版、ゴールデンオリーブのシートなど、阪急車両の特徴は継承しながらも、外観は前照灯を一体的に見せることで「すっきりとした印象を与えるデザイン」とした。
出発式の行われた28日は、1000系車両が出発する9号線に朝から多くのファンが詰め掛けた。9時55分ごろ、車両がホームに到着すると「HANKYU New 1000」と書かれたヘッドマークが掲げられ、担当運転士に花束を贈呈。テープカットが行われ、「いってらっしゃい」と声を掛けられるなど、ファンの見守る中10時に出発した。
同車両は神戸線で運行開始、12月下旬からは宝塚線でも運行を開始する。同社では28日から1000系の特別サイトも公開している。