提供:大阪市魅力発信事務局 制作:梅田経済新聞編集部
雑貨や文具、ファッションなどさまざまな商品・サービスが一堂に会する商談展「ライフスタイルWeek関西」が9月29日~10月1日の3日間にわたってインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催されました。大阪市魅力発信事業「O-TEX」に参加する18社が合同出展し、取引先の開拓やテストマーケティングを行いました。
2019年に始動した、大阪市が地元企業の魅力発信を手掛ける事業「O-TEX」。「Osaka-city Truly great products Expand(大阪市の本当に良い製品を発信する)」という英文の頭文字をとって、「O-TEX」と呼称しています。大阪市内に本社または事業所がある中小企業及び個人事業主を参加対象とし、今年は18社が同事業に採択されました。ライフスタイルWeekへの出展を軸に、効果的なアピールや営業方法の研修、販路開拓やブランディングに詳しい専門家による個別面談など約1年かけて、商品・サービスをブラッシュアップします。
研修風景
1967(昭和42)年創業の広告制作・印刷会社。独自のレーザーカッティング技術を活用して「3Dペーパーパズル」を開発しました。既存のペーパークラフトとは違い、細かな部分もリアルに表現できることから子どもから大人まで幅広いターゲットを獲得し、手作りのインテリアとして人気を集めています。新型コロナウイルス感染拡大後は国内客向けに商品群を見直し、巣ごもり需要が後押しして通販で売り上げを回復。営業本部・滝本伸一部長は「ネット販売は前年比3倍に迫っている。大人も子どもも一緒に楽しめる製品づくりをめざす」と意気込みます。
「ぜひお家で作って楽しんで」と滝本さん
2014(平成26)年創業の手芸品輸入を手掛ける企業で2019年、自社ブランドとして「うぉーたーぷにぷに」を開発しました。海藻などに含まれる「アルギン酸ナトリウム」と、トウモロコシなどから生成される「乳酸カルシウム」が反応して固まる性質を利用した「作って楽しむおもちゃ」です。自然由来の成分で小さな子どもも安全に楽しめるとあって、家族層を中心に人気を集めています。代表取締役の賀金晶(が きんしょう)さんは「安全性を認知してもらい、商業施設や幼稚園への導入をめざしたい」と話します。
「飾るだけでなく、ままごととしても遊べる」と賀さん(写真左)
1900(明治32)年に創業し、金・銀・パールなど印刷用の加工紙を製造・販売する同社。製造過程で発生する端材を使って「キラキラブロック」を開発しました(商品自体は端材ではありません)。のり付けが不要で、繰り返しつなげたり離したりできるので、クリエイティブな発想を伸ばすのに適しているほか、内蓋を差し込むことで、接合部が見えない組み立てを可能にしました(特許取得済み)。紙そのものの強度や光沢は、同社がこれまで培ってきた加工技術が生かされています。営業課長の射水篤さんは「平面から立体に組み立て、さらにそれらを立体的に接続していく楽しさを味わってほしい」と呼び掛けます。
「クリエイティブな発想を伸ばすのに最適」と射水さん
1973(昭和48)年に創業した印刷会社で、その技術を応用して15年前にネイル市場に参入。「親子を笑顔にするネイル」をコンセプトに開発した水溶性ネイル「おとぎネイル」は、除光液を使わず、アルコールやお湯で簡単に落とすことができます。有機溶剤を使っていないので、においを気にせず楽しめるほか、知育玩具としてアートのセンスや色彩感覚も身に付けられるとあってECサイトでランキング1位を獲得。代表取締役社長の黒木健さんは「印刷会社としてパッケージにはこだわった。世界観を大事にブランド認知を広めたい」と話します。
「今後は海外への販路拡大もめざす」と黒木さん(写真右)
1999(平成11)年創業。「企画×デザイン×ものづくり」を軸に、商品の企画、デザインなどを手掛けています。2018(平成30)年に建築模型製作の技術を応用して「OMOSHIROI SERIES(オモシロイ シリーズ)」を開発。「OMOSHIROI BLOCK(ブロック)」はメモ帳として使える一方、めくって使い続けるうちに大阪城などの立体模型が徐々に現れます。「映える」としてSNSでも話題となり、インスタグラムでは3万8000人(2021年9月30日時点)のフォロワーを抱えます。日めくりや週めくりで最後にアートが現れる「カレンダー」、折りたたむと有名な建築物が上に飛び出す「フラット」なども同シリーズで展開。デザイン事業部の九鬼阿香里さんは「今後はさまざまな業界とコラボして小売りチャネル以外の販路拡大をめざしたい」と意気込みます。
「製品を通してコミュニケーションが生まれれば」と九鬼さん(写真左)
2021年5月に創業した同社。工業用印刷版技術を応用し、透明のフォトポリマーに絵柄を刻んだ「TO-MEI HAN(トーメイ ハン)」を開発。従来のゴムスタンプに比べ再現度が高く、0.35㎜のドットまで描けることから写真を再現することもできます。デザイン柄、メッセージ、会社名など組み合わせられる自由度を生かし、個人店や作家への販路拡大をめざしています。代表取締役の山本正樹さんは「社会がデジタル化する中でも、押す楽しさというアナログな体験は失われていないと考えている。今後はより複雑なスタンプなど、子どもから大人まで楽しめるスタンプを企画中」と話します。
「これまでのハンコ、スタンプとは異なる、新しいスタンプ体験を訴求できる」と胸を張る山本さん
2002(平成14)年に創業し、まつ毛エクステ、ネイルなど総合美容サロンを運営。コロナ禍により休業するなかで、スタッフがマスクを嫌がる子ども用にマスクチャームを作っていたことを機に、「ネイリストの技術が生かせる」と製品化しました。ブローチとしても使えるなど用途は幅広く、「世界に一つ」を武器に百貨店などでポップアップショップを展開しています。近畿大学と共同でデザインを開発するなど異業種とのコラボレーションも積極的に行っています。代表取締役の重原佳子さんは「社章やスポーツチームのバッジ、店舗ロゴとして使ってもらえるよう頑張りたい」と意欲を見せます。
「手作業でデザインするので、世界に一つのものになる」と重原さん(写真、左から2番目)
2010(平成22)年に創業した歯ブラシや健康器具を製造・販売する同社。人生100年時代と言われるなか、歯ブラシの形が変わっていないことに疑問を抱き、ローラー型歯ブラシ「クルン」を開発しました。最大1万7000本の毛で歯垢を付着させて簡単に除去できることを売りに、高齢者施設などへの導入もめざしています。形状の特質から飛沫が飛びにくいこともあり、コロナ禍でも注目が高まっています。代表取締役社長の林信彦さんは「『こする』から『転がす』歯ブラシへ。徐々にではあるが認知も広まってきた。歯を大事にしたい思いは世界共通なので、今後は海外へも進出してきたい」と意気込みます。
「歯茎が下がった人用の歯ブラシなど、対象を絞った製品も開発していきたい」と林さん
2015(平成27)年に創業した、イベント企画会社。商業施設などでワークショップを通じてライフスタイルを提案してきました。しかしコロナ禍でイベントが軒並み中止になり、余った資材を活用して通販事業に参入。多様化する女性のライフスタイルに寄り添った商品が少ないことに気づき、自社商品の開発を企画しました。製造のノウハウがないため、ヘアケアメーカーに直接交渉し、家庭用のシャンプー・トリートメントを自社商品として開発。サロンのような「仕上がりごこち」が評判となり、自社サイトを中心に売り上げは好調だといいます。代表取締役の大田徹さんは「店頭販売などオフラインでの販路拡大をめざす」と意気込みます。
「今後はより細分化した商品や、ヘアオイルを開発したい」と大田さん
1919(大正8)年にさらし生地の卸問屋として創業。ホテル・旅館向けの高品質なタオルやリネンのほか、キャラクタータオルや手ぬぐいまで取り扱っています。これまでBtoBで事業を展開してきましたが、「清潔・安心・安全」への関心がより高まっていることを受けBtoC向け商品「sarana(サラナ)」を開発。抗菌・抗ウイルス性に優れている「クリンティ加工」をタオルとして日本で初めて採用しました。原料には農薬と水の使用を減らして栽培した綿を使うなど、環境へも配慮しています。代表取締役専務の岡本静香さんは「洗濯を繰り返してもヘタらない。持続するふんわり感にも注目してほしい」と話します。
「抗菌・抗ウイルス性に優れているので部屋干し特有のにおいも抑えられる」と岡本さん
1974(昭和49)年に創業した「shinjukuya」を源流に持つ婦人靴メーカー。クロコダイルやオーストリッチ、シャーク、パイソンなど希少価値の高い革を熟練の職人が加工することで、他社と差別化を図っています。足を守るという靴本来の役割も損なわず、日本人の足型に合った木型を制作し、縫製・製作にこだわって「究極の履きごこち」をめざすほか、デザイン・カラー・使う素材などを組み合わせれば約270億通りにもなります。代表取締役の丸吉肇さんは「クロコダイルの残皮を使った『Croco Teddy(クロコ テディ)』を開発するなどSDGsにも取り組んでいる。ライフスタイルWeek出展を通じて百貨店などこれまでとは異なる販路を開拓できた」ことを実感し、「これからも新製品を開発していきたい」と意気込みます。
「アフタフォローも充実し、長く付き合える靴屋をめざす」と丸吉さん
2006(平成18)年に創業したシューズメーカー。つま先やかかと部分に芯材を入れず、縫製の段階からほぼ靴の形に縫い上げる「袋縫い製法」を武器に「D’knot(ディーノット)」を開発。革をひっぱらずに作るため、履く人それぞれの足に合わせて革が伸び、足への負担が少ないのが特徴です。「ふんわり」「くったり感」を追求し、ソールにもこだわります。現在は通販サイトをメインに販売していますが、今後は雑貨店やアパレル店など店頭販売もめざします。代表取締役の松岡繁正さんは「『外反母趾でも痛くない』『左右の足のサイズが違っても履ける』などお客さまからフィードバックをもらって初めてわかった」と反響を振り返り、「アパレル企業との取引も始まっており、これまでにない販路で展開することが楽しみ」と今後に期待します。
「環境に配慮した『エコレザー』を使った製品も開発する予定」と松岡さん
建設機器を取り扱うジロー株式会社の子会社として2020年に設立し、生体認証システムを活用した事業を展開しています。第1弾としてカードそのものに指紋認証機能を搭載し、盗難や紛失による不正利用を従来のものより防止できる「指紋認証機能付き非接触ICカード」を企画しました。指紋認証システムなど既存の個人認証デバイスは不特定多数が触れる一方、同製品では接触の必要がないため、コロナ禍で注目が高まっていくと、代表取締役の西田一幾さんは予想します。西田さんは「社員証や無人店舗の入退館管理など、用途は幅広い。既存のシステムに導入できることも強み」と自信を見せます。
「電源非搭載なのでメンテナンスも必要なく使いやすい」と西田さん
1947(昭和22)年創業の町工場。創業以来下請けはせず、企画・設計・製造を自社で一貫して行っています。唐草模様が特徴の「アルミ装飾棚受」は発売から50年以上たったいまも売れ続けているといいます。1本のアルミで作られ、筋交い部分を縦にひねることで強度を保ったシンプルな「インテリア棚受」、造り付けの様な意匠の片持ち棚の「レールシェルフ」なども人気商品となっています。利用者の「こんなのがほしい」という声にも応える対応力を売りに、店舗の什器や学生の卒業制作(特注)、工場の改装など幅広く手掛けます。同社の川添観さんは「強度を保ちながらも、損なわれていないデザイン性に注目してほしい」と話します。
「3D プリンターも開発し、今年で400台の販売を見込んでいる」と川添さん
畳の卸問屋を源流に持つ同社。住まいの洋風化が進む中、「畳で赤ちゃんをハイハイさせたい」「外国人を畳でもてなしたい」という声を受けて、フローリングに敷いて茶室を再現できる「茶の湯たたみ」を開発しました。組み合わせによって茶道のさまざまな流派に対応できることや、いぐさでなく、和紙素材を使うことで日焼けによる変色などを防ぐ技術も持っています。代表取締役の淡路光彦さんは「新型コロナウイルスの感染拡大以降は海外からの注文が増え、全体の3分の1を占める。自社サイトを海外向けに強化していきたい」と話します。
「六角形のネコ用の畳もSNSを中心に認知が広まりつつある」と淡路さん(写真左)
1969(昭和44)年創業のおかきやおつまみを中心に製造・企画する菓子メーカー。白身魚のすり身を焼き上げた「こんがりやきかま」が看板商品。コロナ禍により自宅でお酒を飲む人が増える中、言葉の力を上乗せした「ナッツのおことば」も人気を呼んでいます。「たまには自分にも接待を。」「飲みたいは会いたい。」などお酒好きが共感できる言葉をあしらったパッケージはSNSでも話題になりました。代表取締役社長の高橋憲さんは「雑貨店や催事に出展していきたい」と意気込みます。
「健康意識の高い人を意識した『ナッツのおことば Natural』も新しく販売する」と高橋さん(写真左)
1931(昭和6)年に創業しためっき加工を手掛ける同社。「プラスチックごみ問題を解決したい」という思いと、受託加工で最終的な完成品を目にすることがないスタッフの「自社製品を作りたい」という2つの思いが重なり、チタン製のストローを自社ブランドとして開発しました。人工骨にも使われるチタンを使うことで人体への影響もなく、高い耐久性を実現。抗菌性が高いことからコロナ禍でも注目が集まり、今後はギフト需要なども取り込んで販路拡大をめざします。営業部の池田麻貴さんは「17色とカラーバリエーションも豊富。塗装ではなく、陽極酸化という表面処理による発色でメタリックな美しさを表現している」と胸を張ります。
「男女関係なく若手が活躍できる、風通しのいい会社」と池田さん(写真右)
1947(昭和22)年創業の縫製メーカー。工具や包丁のケースを年間約8000個製造しています。硬い素材や厚物縫製を得意とし、最近では消防ホースをバッグや日用品に変えたり、着物の帯で化粧ポーチを作ったりするなど、アップサイクルにも取り組んでいます。技術の高さを生かし、釣り、キャンプ、化粧品、ネイル用品など、趣味や専門道具のケースに幅広く対応できるのが強み。代表取締役の福永佳久さんは「親からもらった着物など、『使い道がないけど捨てたくない』という品物はあるはず。数珠入れやミニバッグなどいろんな要望に応えられる」と自信を見せます。
「幼稚園の体操服を使って、学校用に筆箱を作りました」と掲げて見せる福永さん(写真右)
会場では18社が自社のユニークな商品やサービスを来場者に披露。熱心に説明を聴き入る人や、サービスを体験する人など多くの人でにぎわいました。
「会場の様子」
今後は専門家によるハンズオン支援のもと、展示会で得た情報や課題を整理し、商品・サービスのブラッシュアップを行います。zoomを使った商談などオンライン営業力を高めるセミナーや、来年1・2月の個別の商談会を経て、3月にはこれまでの取り組みの成果を発表する展示発表会があります。
オンライン商談の様子(2020年度)
展示発表会の様子(2020年度)
事業の折り返しとなる展示会を経験した18社。さらにブラッシュアップされる商品・サービスに期待がかかります。
最終日の集合写真