建設現場から消えた日本人。現場を支えるのは、海を越えてきた外国人たちだった。
大阪・西成区で撮影された主要幹線道路の風景(2025年3月撮影)。この街では、外国人労働者によるインフラ整備の現場が至る所に点在している
建設現場から消えた日本人、入ってきた外国人
とび工、型枠工、鉄筋工、配管工、左官、電気工事、重機オペレーター…。建設業を支えるこれらの職種は、今まさに深刻な人手不足に陥っている。若者が一度でもつらいと感じた仕事は選ばれなくなり、企業側も採用ができないまま──その結果、外国人材に頼らざるを得なくなっているのが現実だ。
今は、有名大学を出ていても、若さがあるだけでは比較対象にすらならない時代。わざわざ汗水垂らす現場の仕事は誰もが無理と吐き出す。でも、できることが当然、人が足りなくなる。
社長の数が多すぎる日本の構造
日本は中小企業が非常に多く、部長の上は社長の方が多いという珍しい国。その分、人材が分散し、1社1社の採用はますます困難になっている。
「面接に来てくれたらありがたい」という声が現場では日常で、現場は外国人を頼るしかない。とくに建設現場のような“インフラを支える仕事”に日本の若者が来ない以上、誰がやらなければ都市機能すら維持できない。
不法滞在者の“次の行き先”と、現場の限界
建設現場を辞め、ビザを失った外国人労働者の一部が、不法滞在のまま流れ着く仕事がある。それが「ゴミ回収業」や「解体業」だ。どちらも政府が定める特定技能制度の対象外で、合法的に外国人を雇用することができない業種。にもかかわらず、人手不足が極限まで進んでおり、現場は不法と知りながら雇用する“という選択を迫られている。
西成区の裏通りに増える解体・建設工事現場。外国人労働者が生き抜くために働く姿と、街の課題が交わりつつある。
「誰がやるのか?」という本質的な問い
わざわざ苦役を越えて、日本人がやりたがらない仕事をやってくれている。この事実には、しっかりと目を向けるべきだと思う。
「誰が担うべき仕事なのか?」を見直すべき時期に来ている
昔、郵政民営化で騒いでた頃からずっと思っていたけど、本来、こういったインフラに関わる仕事こそ、民間に任せるんじゃなくて、国や自治体が責任を持ってやるべきなんじゃないかと思っている。
効率とコストばかりを優先して、“責任”の部分を全部民間に押しつけてきた結果、今では誰もやりたがらない仕事になって、外国人に頼るしかないというのが現場の実情だと思う。
「そもそも誰が担うべき仕事なのか?」という根本を、今こそ見直すべき時期に来ている。
NISHIOKAについて
大阪・西成区出身のシンガーソングライター。音楽活動の傍ら、地元・西成の風景や出来事を自分の目線で切り取り、外国人労働や人材不足など社会のリアルを発信している。観光ガイドでもニュースでもない、“この街で生きてきた一人”としての視点を記録し続けている。
2025年、シングル『ISHIKORO』がiTunes UK J-POPチャート1位を記録。
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