阪急電鉄(大阪市北区芝田1)の新型特急車両「2300系」が4月16日、「阪急電鉄 正雀車庫」(摂津市)で報道陣にお披露目された。
2300系は、大阪梅田駅と京都河原町駅を結ぶ京都線で7月から運行する新型車両。同社の新型車両導入は、2013(平成25)年以来11年ぶりとなる。製造は日立製作所。制御装置に高効率な半導体素子を採用することで、消費電力は既存車両に比べ約60%削減できるという。省エネルギー性能と静音性に優れるという「インバータ式空調装置」や防犯カメラなどで車内の快適性や安全性の向上を図る。先頭車両のバリアフリースペースは、車椅子やベビーカーを利用する乗客が利用しやすいよう、一部の座席を撤去しエリアを拡大した。
デザインは、マルーンとアイボリーの車体色、木目調の化粧板、ゴールデンオリーブのシートなど「阪急電車」の特徴を継承しながらも、前面の窓ガラスに曲線を取り入れた。進行方向に合わせて背もたれの向きを変えられるクロスシートの座席面にはストライプ柄を施す。
8両編成のうち、大阪方面から4両目(40席)には同社初の座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」を導入。座席指定サービスを提供する特急や準特急などを1時間当たり2、3本運行する。車両の床面はカーペット敷きで、一般の車両と比べ、座席の幅や足元の前後のスペースを広くする。座席にはリクライニング機能やヘッドレスト、パーティションを装備。収納式のテーブル、読書灯、マガジンラック、コンセント、Wi-Fiを備えるなど利便性を向上させる。
導入について、技術部の塚本大介さんは「プロジェクトを始めた2020年ごろには、コロナ禍で社会ニーズが大きく変化した。移動におけるプライベート空間の需要の高まりを受けて開発した」と振り返る。運輸部の加藤奈央さんは「通勤やお出かけなどさまざまなシチュエーションで利用してもらい、プライベートな移動時間を楽しんでほしい」と話す。座席指定料金は500円。専用のWEBサイトで予約を受け付ける。