「大阪中之島美術館」(大阪市北区中之島4)が6月30日落成し、現在、2022年2月2日の開館へ向け準備を進めている。
大阪市が1983(昭和58)年、市制100周年記念事業の一つとして発表した近代美術館建設の構想から約40年を経て完成した同館。民間企業が運営する「コンセッション方式」を国内の美術館で初めて導入する。2019(平成31)年2月に着工し、今年6月30日に落成した。19世紀後半から現代にかけての佐伯祐三やアメデオ・モディリアーニ、ルネ・マグリットなどの作品約5700点をコレクションしている。
設計は、建築家の遠藤克彦さんが手掛けた。地上5階建ての黒い箱型の建物に、フロアごとに東西や南北の景色が楽しめる大きなガラス窓をはめる。館内には、フランス語でアーケードを意味する「パッサージュ」から着想を得たという全フロアを貫く吹き抜け空間を設ける。1階と2階に3カ所ずつエントランスを設けたのは、中之島エリアの回遊性を高める狙いもある。
館内は、1階はホール、レストラン、ミュージアムショップ、2階はチケット売り場、芝生広場などの無料で入場できるエリア。4階・5階は有料の展示室となる。4階では、日本画や近代洋画、かつて中之島に活動拠点があった「具体美術協会」などの作品のコレクション展を披露。5階では約6メートルの天井高を生かした企画展を予定する。延べ床面積は2万12平方メートル。
遠藤さんは「都市の中で埋没しないように黒色の外観で存在感を出した。垂直と水平を組み合わせたストイックな構造の中に、人が移動するエスカレーターや階段を斜めに配置することで、複雑な吹き抜け空間が生まれた。外と内のイメージの違いを感じでほしい」と話し、菅谷富夫館長は「展示室だけではなく、パッサージュや休憩スペースなど館内全体に作品を配置する予定。近隣に住む人や働く人にとっての憩いの場となり、市民に開かれた美術館を目指す」と意気込む。
オープンニングに合わせての展覧会は、同館のコレクションから代表的な作品とともに収集活動の特徴や作品にまつわる99の物語を紹介する「Hello! Super Collection 超コレクション展 99のものがたり」を開催する。開催期間は来年2月2日~3月21日。