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中之島の魅力伝えるフリーペーパー「島民」が終了 「またどこかで」笑顔で幕

「島民」を持つ編集責任者の大迫力さん

「島民」を持つ編集責任者の大迫力さん

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 大阪市北区中之島周辺の「街事情」を発信するフリーペーパー「島民」が、3月1日号をもって、発行を終了した。

12年間で136号を発行した「島民」

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 2008(平成20)年8月に開業した京阪電車中之島線のPRを目的に創刊した同誌。当初、2009(平成21)年3月までの半年間限定で発行する予定だったが、広告枠を頻繁に設けないことや、斬新な視点で中之島を紐解く特集など、フリーペーパーらしからぬこだわり抜いた誌面作りが話題を呼び、続刊が決定。これまで136刊を発行し、総発行部数は約500万部に及ぶ。配布場所は、京阪中之島沿線の主要電車や、中之島周辺のオフィスのほか、読者からの要望に応えて、東京や愛知、熊本にも配置。定期購読者もおり、日本全国に多くのファンを抱え、愛されてきた。

 制作を手掛けたのは、出版社の「140B(イチヨンマルビー)」(大阪市北区)。同誌の発刊だけでなく「中之島に足を運び、島を体験してほしい」という思いから始まった一般市民向けの講座「ナカノシマ大学」の運営・企画も行うなど、中之島地域の魅力発信に貢献し、活性化を推し進めてきた。

 編集責任者の大迫力さんは「中之島という切り口だけでよくここまでやってこれた」と、12年を振り返る。続けて「建築について取材しているときには、次号の落語に関する企画を立てていて…12年間続いたのは、編集とか切り口とかはあったものの、中之島がネタに困らない凄い地域だったから」と、中之島地域への敬意を表した。

 廃刊の理由について、大迫さんは「総合的に判断した結果」と話す。12年間のフィナーレを飾った最終号のテーマは「月刊島民のつくり方」。同誌の根幹部分を隅々まで解き明かす内容で、編集・誌面作りのヒントもちりばめる。さらに、長年中之島エリアを見つめてきたからこそできる「街の見方」も読者に紹介。最終ページでは、感謝の言葉をつづり「またどこかでお会いしましょう!」と締めくくった。

 SNSでは「月刊島民最終号まじか…」「こういうおもろい媒体が消えてしまうのは残念すぎる」など、終了を嘆く声が多く寄せられ「島民ロス」が続出。ジュンク堂書店大阪本店(同)で企画された「『月刊島民』最終号刊行記念 バックナンバーフェア」では、3月31日の開催終了日を前に在庫が無くなるという盛況ぶりを見せ、「島民」の多さを物語った。

 大迫さんは「136号という中途半端な数で、いきなり終わるのも引き際として面白い」と話し、「中之島と縁をつないでくれたのは、個人としても会社としてもありがたかった。またどこかでお会いしましょう」と、島民と共にした12年間にわたる旅路に笑顔で幕を下ろした。

 「島民」のバックナンバーは、「ナカノシマ大学」ウェブで閲覧可能。「ナカノシマ大学」の講座は引き続き実施する。大阪府立中之島図書館(同)では、同誌の歴史を振り返る展示イベントを4月に開催予定。創刊号から最終号まで全ての表紙を手掛けた奈路道程さんのイラスト原画や関連作品を展示するほか、同誌やナカノシマ大学関連の本やグッズの販売なども予定している。詳細は4月1日に中之島図書館インフォメーションサイトで公開する予定。大迫さんによると、次はフリーペーパーではなく出版物として、中之島に関する書籍の販売を計画しているという。

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