淀屋橋の芝川ビル(大阪市中央区伏見町3)4階モダンテラスで2月27日、「芝川家のお雛(ひな)様と美しい船場のいとはん」展が始まった。
19世紀半ばから船場伏見町で貿易商を営んでいた芝川家。同家が設立した千島土地が2012年に100周年を迎えたのを機に、同家が持つ江戸時代から現代までの資料を提供し、同社が収集・保存に取り組んでいる。江戸時代から大阪の中心地として栄えた船場地区の人や暮らしを紹介することで地域全体の魅力や価値向上につなげたいと同展を企画した。
同展では、1927(昭和2)年に芝川ビルを建設した6代目当主・芝川又四郎のめいに当たる弥生子・菫(すみれ)姉妹のためにそろえたひな飾りを展示。京都の老舗「丸平大木人形店」のものを中心に、大正~昭和初期にそろえられたひな人形、ひな道具が並ぶ。中央に展示するひな飾りは当初、御所に見立てた飾りの中に人形を飾る「御殿飾り」だったが、御殿と内裏びなが失われ、その後は日本画家・深田直城によって描かれた掛け軸の内裏びなが飾られていたという。
会場では、アルバムから選んだ弥生子と菫の幼少期から結婚までの写真も展示。弥生子が愛した宝塚歌劇関連の資料や、大正期から阪神間に住まいを移した芝川家のアルバムから「阪神間モダニズム」が感じられる写真なども展示する。
同ビルは1929(昭和4)年に女子教育の「芝蘭社家政学園」を開校していたことから、会期中は授業科目の一つでもあった生け花も展示。3月1日には船場の老舗和菓子店「菊寿堂」の菓子と抹茶を用意し茶会も開く。茶会参加費は600円。
1階から4階の会場へ向かう階段には、生駒ビルヂング、伏見ビル、上村家、千島土地などが所蔵する、戦前に撮影された船場の「いとはん」(お嬢さん)の写真パネルも展示。当時の着物の柄や着付けの様子なども楽しめるようにした。
「ひな人形を通じて船場の歴史や文化に思いをはせてもらいたい。船場には旧家が多いので来年は旧家のひな人形を巡るイベントができれば」と千島土地の川嵜千代さん。
開催時間は12時~19時(3月1日・2日は18時まで)。入場無料。3月5日まで。