ハービスHALL(大阪市北区梅田2、TEL 06-6343-7800)で8月7日、「世界報道写真展」が始まった。
世界報道写真財団(本部=オランダ・アムステルダム)が前年1年間に撮影された報道写真を対象に選出する「世界報道写真コンテスト」の入賞作品170点を展示する同展。今年で55回目を迎え、アムステルダムを皮切りに45カ国、約100都市を巡回する。今回のコンテストには、124の国と地域から10万1200点の応募があり、「一般ニュース」「スポットニュース」「アート&エンターテインメント」「自然」「スポーツ」など9つの部門で56人のカメラマンが入賞した。
「世界報道写真大賞2011」には、イエメンの首都・サヌアでの抗議デモで催涙ガスを浴びて苦しむ息子を抱きかかえる女性の姿を撮影した、サムエル・アランダさん(スペイン、ニューヨーク・タイムズ紙向け)の作品が入賞。カイロのタハリール広場に集まっていたデモ参加者(「一般ニュース」の部、単写真1位、アレックス・マヨーリさん)や、65年間連れ添ったアルツハイマーの妻を世話する夫(「日常生活」の部、組写真1位、アレハンドロ・キルチュクさん)、ソチのレストランで歌うアーティストたち(「アート&エンターテインメント」の部、組写真1位)、高さ150メートルの水力タービンから飛び降りるベースジャンパー(「スポーツ」の部、単写真3位、ヘンリク・ブリュンスゴールドさん)など170点の作品を展示する。
今年の作品では、昨年3月11日に発生した東日本大震災の爪跡を撮影した作品も多数展示。津波に襲われた宮城県名取市を撮影した手塚耕一郎さん(「スポットニュース」の部、組写真1位)、横倒しになった列車やがれきの中から娘の卒業証書を見つけ出した女性、体育館に集められた思い出の品から家族の写真を探す男性、車のヘッドライトを照明に看板に「がんばろう」の文字を書く男性を撮影した千葉康由さん(「ニュースの中の人々」の部、組写真1位)、名取市のがれきの中で泣く女性を撮影した恒成利幸さん(「一般ニュース」の部、単写真3位)の3人が、日本人で3年ぶりに入賞。同時に3人入賞したのは初めてという。
会場内では、福島県相馬市の仮設住宅にスタジオを設け、笑顔の写真を撮影する「頑張る家族の肖像」撮影プロジェクトで撮影した写真もスライド上映。資生堂のボランティアスタッフが化粧やヘアメークを施し笑顔で写る被災者の姿を映し出している。
期間中、小学生のためのピンホールカメラ教室やスクラップブッキングイベント、日本人入賞者による記念講演会など多数の関連イベントを予定する。
開催時間は11時~20時。観覧料は、一般=700円、大学・高校・中学生=500円、小学生以下無料。今月16日まで。