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HEPHALLで「アルバムエキスポ」-浅田政志さんの被災地記録写真を展示

7月30日よりHEPHALLで開催される「ALBUM EXPO NIPPON」

7月30日よりHEPHALLで開催される「ALBUM EXPO NIPPON」

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 HEPHALL(大阪市北区角田町、TEL 06-6366-3636)で7月30日より、アルバムをテーマにした展覧会「ALBUM EXPO NIPPON(アルバムエキスポ ニッポン)」が開催される。

体育館に集められたアルバム

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 2009年、2010年と同ホールで開催してきた「ALBUM EXPO OSAKA」。写真家や著名人のアルバムを公開し、写真をプリントすること、アルバムを作ることの大切さを発信してきた。3月11日に東日本大震災が発生し、ニュースでは真っ先に写真やアルバムをがれきの中から探す人の姿が映し出され、「今こそアルバムエキスポをやらなければ」との使命感から今回の開催が決まった。

 会場の展示プロデュースは、川島小鳥さん写真展「未来ちゃん」の会場構成や、書籍「ニッポンの嵐」の編集を手掛けるRe:Sの藤本智士さん。過去2回のアルバムエキスポでも協力してきた、家族写真をテーマに写真を撮り続ける写真家・浅田政志さんと7月に被災地に向かった。

 浅田さんは震災発生後、今年写真展を開いた八戸にいる知人のもとを「何か手伝えれば」と訪ね、その後、知人とともに岩手県野田村に向かった。そして、役場にボランティアの申請に行こうとした際に写真を洗っている青年を見かけ、その青年に話しかけたことから写真洗浄のボランティアを始めた。その後、藤本さんとともに写真洗浄をしている人や保管する人を訪ね、同展内の「アルバムのチカラ展」に展示する写真を撮影した。

 浅田さんは「最初は何を撮ろうか悩んだ。被災地の悲惨な状況を記録として残すことも必要だが撮る気にならなかった。気仙沼の体育館で大量のプリントを洗う元イチゴ農家の高井さんを見たときに、光みたいなものがあり感動して撮りたくなった」と振り返る。

 自ら被災しながらも、持ち主に返すだけではなくその後残せるように写真のカビを取る作業をしていた岩手県大船渡の紙本保存修復士や、廃校になった学校で町ごとに教室を分けて保存する南三陸町の入谷中学の様子、家族の写真を探しにきて自分が撮影した写真も見つけた写真スタジオの男性、情報社会学を学んだ男性が「自分の専門分野で街をなんとかしたい」と、写真をデジタル化して持ち主に返している様子など、それぞれの地でアルバムに対する活動をする人を追った。

 「全員が初めてのことで自然発生的に始まった。誰もやったことがないからノウハウの共有ができていない。写真展という形でアウトプットすることで返せれば」と藤本さん。「持ち主の元に戻ればいいと思ったが、まだ写真を見たくない人もたくさんいる。10年後に写真があることが大切。拾得物では長期の保管ができないので共感の声が重要。その空気感を伝えることで被災地を応援したい」と話す。

 浅田さんは「『アルバムっていいよ』という活動をしてきたが、被災地で流されてしまった写真やアルバムを洗っている姿を見て、いいよどころじゃない、まさに宝物という認識を持っている、今まで持っていた価値観よりもっと大切なものだと教えてもらった」といい、「保管しなければいけないものはたくさんあるのに、体育館にはアルバムが一面に並んでいた。東北地方でアルバムを通して頑張ろうとしている姿を見ていただきたい」と来場を呼び掛ける。

 展示は浅田さんが撮影した写真170点と藤本さんの文章で構成。避難所で生活する少女が撮影したチェキ写真を展示する「スチェキなミライ!!」や、いろいろなアルバムを作るより大切な一冊を作ることを提案する「とっておきの一冊をつくる」、持ち込んだ写真でアルバムを作れるスペースなども用意する。8月14日には、浅田さんと藤本さんのトークイベントも予定。

 開催時間は11時~20時。入場無料。8月21日まで。

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