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インタビュー2013-09-28

「大阪はいろんな文化を発信する街」
藤本智士さん(有限会社りす代表、池田修三展「センチメンタルの青い旗」プロデューサー)

 9月20日からHEPHALLで始まった木版画家・池田修三の作品展「池田修三展 『センチメンタルの青い旗』」。開催初日に同展のプロデューサー・藤本智士さんに同展開催までの経緯と梅田で大規模個展を開催する意義について聞いた。

-関西に拠点を置く藤本さんと池田修三作品との出会いは

 今、秋田県の良さを県外に向けて発信する秋田県発行のフリーマガジン「のんびり」の編集長をしています。「県内にいると気付かないことを発信したい」と、県外と県内のメンバーで編集部を構成していて、その第3号で秋田県にかほ市象潟(きさかた)町出身の池田修三さんを特集したんです。話を聞くと地元の人は、「いわさきちひろぐらい全国でも有名だと思っていた」とか、「新築、結婚、退職など人生の節目に修三さんの作品をあげたりもらったりしていた」とか。家に上がると飾ってあって、そこにはそれぞれのエピソードがある。そういうありさまが素晴らしいと思いました。僕は20代のころ、若い作家は自分の作品の価値が上がって美術品として価値が上がるか、悪い意味ではなく印刷物などのイラストレーションとして消費されていくかどっちかしかないと感じ、その間の「暮らしの中にある姿」を想像して展覧会をプロデュースしたりしていたけどうまくいかなかった。それから10年以上たって、出会った修三さんの作品には作家としてのあり方や理想が全てあって、それを世に出していくのが使命だと感じました。

-特集の反響はありましたか?

 修三さんはもともと油絵をやっていたのですが、教師を辞めて上京する際に油絵を辞めて一つの作品で300枚とかとれる木版画に専念したそうです。作品の価格を下げることにこだわった人で、木版画は絵師、彫師、刷り師の3役があるのですが、値段が上がらないようにその全てを一人でこなしていた。そのシンプルな作家としての生き方を特集で追究しました。「のんびり」というフリーマガジンは全国の雑貨やギャラリーなどに置いてもらっているのですが、3号発行後、このご時世に手紙やはがきがたくさん寄せられました。自宅にある作品を写真に撮って送ってくれた人もいて、秋田以外からも届きました。特集の反響が大きかったので今年4月に修三さんの出身地である象潟で没後初めての展覧会を開くことを決めました。

-展覧会はいかがでしたか?

 にかほ市象潟公会堂という議会や音楽イベントをするような会場でしたのですが、告知はツイッターで、運営は地元のボランティアの方に協力していただきました。小さな町で開いたのですが、沖縄や九州、大阪など遠方からも多くの来場があり、10日間で2500人も来てくれました。33歳から東京のアトリエで作家活動をしていたけど、ずっと故郷を思っていた。作品は昭和レトロみたいな感じで、版画でこの表現をしていたのはこの人だけだったのですが評価されず、日本版画協会を辞めた。でも地元の人が支えた。通帳の表紙になったり買って贈ったりした文化があった。作家の在り様、町と作家の関係性を伝えたいと、その後、背景も含めた作品集「池田修三 木版画集 センチメンタルの青い旗」(発行:ナナロク社)にまとめました。

-作品集と大阪の展覧会のタイトルに「センチメンタルの青い旗」とありますが。

 原発問題や当たり前の暮らし、幸せ、安全を願おうとするだけでセンチメンタルな方に追いやられてしまいますが、今はやみくもに経済成長を願っている時代ではない。故郷を思ったりすることはセンチメンタルなのか。今こそそういう思いを堂々と掲げて生きていく、表現していくことが大事だと思います。それには池田修三が知られる意味があると思っています。

-大型の作品展を梅田のHEP HALLですると決めたのは?

 HEP HALLは広いので動員も必要になってくるのですが、「ここから発信していくんだ」という気概のあるホール。今から伝えたい、始めたいことをやる場所だと思っています。大阪はいろんな文化を発信する街。昔、透き通った清酒が日本酒だと言われていた時代、秋田のにごりのある純米酒は失敗作と言われどこも扱ってくれず、それを引き取ったのは全部大阪の料理屋だったそうです。そこから秋田の酒が全国に広まった。きちんとした世界観を見せられるのは大阪しかないし、東北や秋田のことも大阪を通じて広まっていくと思っています。東北の暗さや闇の部分も刷りに重ねられていて、かわいいだけじゃない、本質的な、人間的なものを持っている作品で、生前にもなかった108点の大きな個展になりました。

HEP HALLで「池田修三展」-レトロポップな木版画作品108点展示(梅田経済新聞)

-今後の展開について教えてください

 初期のモノクロ作品も入れると1000点以上の作品があります。地元の資料館や生家からも250点ぐらい集まりました。「のんびり」の特集をしてから動き出したんです。版木もないといわれていたのですが、東京のアトリエから1000点ぐらい出てきました。この規模での開催は今のところここだけで、東京や松江、宇部、山形などで今後1年ぐらい小さな個展を開いていく予定です。4月30日の修三さんの誕生日に絡めて象潟でも何かするだろうし、後に東京で大きな展覧会ができればと思っています。

池田修三展「センチメンタルの青い旗」

開催期間:9月20日~10月7日

開催時間11時~20時

会場:HEP HALL(大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE8階)

入場料:無料

HEP HALL

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