銅版画家松本智子さんが個展-昭和40年代の家族写真をもとに制作

松本智子さんの作品、「のりちゃんとおねえちゃんとしんかんせん」

松本智子さんの作品、「のりちゃんとおねえちゃんとしんかんせん」

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 北浜の「アンソリットギャルリー&カフェバー フレイムハウス」(大阪市中央区淡路町1、TEL 06-6226-0107)で11月22日より、「松本智子 銅版画展 『unexpected pathos IV』」が開催されている。家族写真をもとに制作した「家族シリーズ」や、ロンドンに行った時に撮った写真をもとにした「倫敦シリーズ」など約20点を展示する。

「2008ボローニャ国際絵本原画展」に入選した「さっちゃんあそへいく」(関連画像)

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 短大を卒業後、電気メーカーに就職した松本さんは、その後友人に誘われ一緒に語学留学する予定だったが、友人は行けずひとりでロンドンに。英語学校に通った後、もともと芸大に行きたいという思いがあったことからアートスクールに通い始めた。そして1995年、イーストロンドン大学絵画・版画コースに入学。絵画で始めたが、1年生で一通り学んだ時に版画に興味をもち、2年からは版画だけに絞り、エッチングやシルクスクリーンを学んだ。

 初めて家族と離れて暮らし、留学中に「自分が日本人であることを初めて意識した」という松本さん。版画の題材を探していく中で、「どうして自分はこういう人間になったのだろう」「人格形成される時期に、自分がどういう生活をして、どういう人たちに囲まれていたのだろう」とアイデンティティ探しを始めたところから、幼少のころの写真を銅版画のモチーフにするようになったという。

 松本さんの作品は昭和40年代の自身の写真をもとに描かれており、庭で遊んでいるところや旅行写真など、昭和時代の懐かしさを感じさせるもの。今年初めて応募し入選した、現在日本を巡回中の「2008ボローニャ国際絵本原画展」に出品した作品「さっちゃんあそへいく」では、松本さんの姉が父の田舎に初めて行った時の写真をテーマにしている。同展では展示作品の販売も行う。価格はシート=11,000円~、額=1,000円~で、ポストカードは1枚150円。

 現在は、平日は派遣社員として企業に勤め、週末に工房に通い制作を続ける松本さん。「版画は工程が多いので飽きない。初めて刷って紙をめくる瞬間が楽しい」と版画の魅力について話す。

 開催時間は、土曜~月曜=13時~18時、火曜~金曜=18時~23時。今月28日まで。

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