大阪市立科学館(大阪市北区中之島4、TEL 06-6444-5656)が9年ぶり、開館以来3度目となる大規模なリニューアルを行い、7月18日にリニューアルオープンする。
市立科学館は日本初の科学館で、初めてプラネタリウムを導入した大阪市立電気科学館を引き継いだもの。1989年10月に「宇宙とエネルギー」をテーマに開館した。参加体験型の実験装置と資料展示を行っている。
今回のリニューアルでは、1階~4階の展示スペースのうち1階~3階と入口展示の約1,930平方メートルを更新。「大人も子どもも楽しく学べる」をテーマに5億円を投じ、資料点数約1,000点、約100の展示を一新した。「実験装置に加え、全世代に通用する実物資料をそろえた」という。
正面玄関には、1928年に大阪で作られた東洋初のロボット「学天則(がくてんそく)」を、資料に基づき復元したものを展示。学天則は高さ約3.2メートルのロボットで、大阪毎日新聞の論説委員で生物学者だった西村真琴さんが製作したもの。オリジナルはドイツに渡った後行方不明になり存在していないという。空気圧を使い、表情が変化したり腕が動いたりするなどの動作を、「できうる限り当時のまま再現するようにした」という。同フロアには、ルービックキューブを解くロボット「キューブくん」も展示、どんなに難しいものでも解けないものはないという。
1階は「電気とエネルギー」をテーマにしたフロアで、電気を「おこす」「送る」「使う」のコーナーに分け展示。「おこす」のコーナーでは、「サイクリング発電」や「ジョギング発電」などの人力発電装置を設置。自分が起こした電気の量が表示され、扇風機が回ったり、電気がついたりする。水力発電や火力発電、原子力発電の原理を模型や映像で確認する展示物も。「送る」コーナーでは、高さ22.4メートル、33キロボルトの送電鉄塔の上部5.6メートルを実物大で展示。「使う」コーナーでは、昭和初期ごろから現在までの家電製品を、電力消費量の変化を示したパネルとともに展示している。「いろいろな年代の方が自分の時代を懐かしみ、エネルギーについて考えてもらえれば」と同館担当者。
2階は小学低学年の児童とその保護者を対象にした「おやこで科学」フロア。子どもでも体感的に分かりやすいフロアで、ボールの動きを観察するものや、鏡の道を通り映った姿を見ることができる。竜巻発生装置も展示し、竜巻を起こし触ることも。低年齢層に対応するため、展示物の高さを低くするなどの配慮も施されている。
3階は日本最大規模の化学の展示フロアで大人も楽しめる「身近な化学」フロア。化学反応によって生み出される物質や原材料を展示する。大型水晶や重量2トンものポーランド産岩塩の展示、誕生から約100年経つプラスチックの進化の紹介、宇宙服のレプリカの展示などを行う。同フロアでは各日3~5回、学芸員による「サイエンスショー」も開催。8月31日までは、紫キャベツを使った紫色の液に身のまわりのさまざまなものを入れて、酸性かアルカリ性かを調べる実験を行う。
開館時間は9時30分~16時45分。観覧料金は、大人=400円、高校・大学生=300円、中学生以下=無料。月曜(祝日の場合は開館)・祝日の翌日定休。
1階に建設された実物大の送電鉄塔(関連画像)宇宙服のレプリカ(関連画像)竜巻に触れる「竜巻発生装置」(関連画像)ルービックキューブを解くロボット「キューブくん」(関連画像)大阪市立科学館